はじめに 『補給戦』の目的と実態 『補給戦』の近世期の記述とその問題 『無秩序な略奪』という神話 『河川依存』という神話 『補給戦』をどう読むべきか 『補給戦』の代わりに何を読むべきか はじめに マーチン・ファン・クレフェルトによる著書、『補給戦―…
はじめに 中世期スペインの軍隊と貴族 「カトリック両王」の軍隊 テルシオの登場 まとめ はじめに 近世ヨーロッパにおける常備軍組織の成立は軍事史において一つの契機と見做すことができる。 常備軍は領域権力を持つ国王により人事・財務・指揮統制を直接管…
はじめに スペイン軍の「従者」 日本の「従者」 考察 課題 はじめに 近世ヨーロッパにおける軍隊と同時代の日本の軍隊を比較する際、武装から財政的基盤まで、多種多様な差異を見出すことができる。本来成立経緯も社会的背景も異なった組織同士を比較してい…
はじめに 第1章 騎兵部隊の公式な編成について 第2章 騎兵の兵士について 第3章 分隊伍長(Cabo de esquadra)について 第4章 少尉(Alférez)について 第5章 中尉(Tiniente)について 第6章 中隊長(Capitan)について はじめに 本稿はフランドル派遣軍で…
はじめに 1568年頃にスペイン軍軍人Sancho de Londoñoによって書かれた『Discurso sobre la forma de reducir la Disciplina Militar a mejor y antiguo estado』をある程度読んだので感想文を書く。 本当はテーマ3つくらい決めて感想文書こうと思っていたが…
ローマの野戦陣地 古代人、特にローマ人は、敵に一晩も包囲されなかったとしても、その軍勢を幅5フィート、深さ3フィートの塹壕を掘り、内側に掘り出した土を積み上げ、その内側に兵士を置いた。 しかし、塹壕を掘るための時間が余っているような場合は、少…
a3dayo.hatenablog.comの続き (テルシオの編成・給与・特権) 各テルシオはその兵士のみからなる部隊、その軍旗、荷物とそれら全てを守る騎兵または多数の歩兵が必要であり、もし開けた林や他の兵士がいない場所の場合、それぞれ10列の横列を持つ4つの部分…
1569年に死去したSancho de Londoñoにより書かれたと思われる『古き良き規律への対話篇』の試訳兼抄訳。 できるだけ原文の意味を失わないよう心がけたつもりだが、意訳せざるを得ない部分が多く、誤訳も多いと思われる。 とりあえず前半部分の各士官の役割及…
本稿では1598年に出版されたRobert Barret著『The theorike and practike of moderne warres』から1671年出版のGeorge Monck著『Observations upon military & political affairs』までのイングランドで発行された軍事書籍5書から騎兵種と騎兵防具の変遷を追…
*三十年戦争400周年企画に寄稿しようと思っていたら普通に年末まで仕事があり完成できなかったやつです。 三十年戦争期の軍隊に多くの女性が含まれていた事はよく知られている。 彼女らの大部分は非戦闘員で、行軍中は商人と共に小荷駄段列に加わっていた。…
テルシオ(tercio)という言葉を日本語版ウィキペディアで検索すると以下のような記述が見られる。 『テルシオ(tercio)は、1534年から1704年にかけてスペイン王国が採用した軍事編成。あるいはまた、その部隊の戦闘隊形。』 一読してわかる通り、ここでは…
近世スペイン軍はスペイン人のみから構成されていたわけではない。 スペインの方面軍の一つ、フランドル駐留軍にはドイツ人、ワロン人、イタリア人、アイルランド人、アルメニア人など、さまざまな地域出身者がスペイン軍に参加しており※1、スペイン人はむし…
火薬の普及によって生まれた兵器・戦術は銃や砲だけではない。 火薬の爆発力はさまざまな兵器に利用され、中には大砲や銃と同じく重要な地位を占めるに至ったものもある。 そうした兵器・戦術の一つが地雷とそれを利用する坑道戦術である。 地雷を用いた坑道…
「私は『ex evolutionibus』にマスケット兵とアルケブス兵に継続的に射撃させるだけでなく、効果的に射撃させるための戦闘隊形を以下のように見出した。 一列目が同時に射撃するとともに、後方に下がり、二列目が前進し射撃、その後後方に下がる。その後、三…